童話書店の夢みるソーネチカ
 そう思うと途端に自信がなくなってきた。図書委員で作るのと仕事で作るのはわけが違う。

 効果のある広告を、店の不利益にならない広告を作らなければならない。

「私、作ったって言ってもマーケティングの技術はないですよ?」

「そんな難しいこと考えさせるかよ。図書委員で作ったのも読書欲を刺激するためのもんだろ。同じように作れ……あ、でも漢字はあんま使うな。読めんから」

 こういう懐の大きさは素直に素敵だと思う。成果に厳しい人だったら未熟な高校生の千花はいつ首を切られてもおかしくない。

 業務以外での扱いの失礼さでプラマイゼロな気もするけど。

 画用紙やクリップホルダーの用意をしていると、カウンター後方の棚から柳木が絵本を一冊取り出した。

「それが大物作品ですか?」  

 なぜか得意げな柳木が胸の前でそれを持つ。本の背を右手で掴み、千花の方へ近づけた。

「驚くなよ、あのミニーノットが絵を手がけた『シンデレラ』だ」  

 「へええ」と間の抜けた声しか出なかった。

 どこが驚きポイントなのか無知な千花にはわからない。これはまた睨まれるぞ……。
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