童話書店の夢みるソーネチカ
 感情のせわしい千花とは対照的に、柳木はブレない仏頂面で感想を催促した。

 浅めの深呼吸で心の蒸気を排出し、いつもの千花を繕って答える。

「す、素敵な絵ですね。なんか憧れちゃいます」

「だろうな。だが予想以上に食い入って見てたな。まあ絵本好きとしては嬉しいリアクションだ。千花がメルヘンなのも分かった。確かにこういうドレスは大義名分がねえと着れねえよな。女磨いてウェディングドレスが着れることに賭けろ」  

 柳木がさらりと千花の女子力を否定し、人差し指を立てた。

「ドレス着たいって意味じゃないです。お姫さまを……」

「姫さんになりたいのか?そりゃあちょっと厳しいだろ……でも心配するな。結婚したら実質お姫さまみたいなもんだ」
 
 お姫さまの後を追って探し出してくれる王子様いいなって思っただけですけど!人を結婚願望の塊扱いする男と違ってね!  

 目前のすねをつま先でつついた千花は、困惑する柳木から本を掴み取った。

 こんなだから彼女の一人もいないんだ、なんて思っていると仕切り直しといった様子で柳木が咳払いした。
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