童話書店の夢みるソーネチカ
 柳木の優しさに罪悪感は残ったが、傷ついた心がやっと休める場所を見つけられたみたいだ。こらえていたのに温かい涙が一滴頬を流れた。

 急いで目元を拭い、直視はできなかったけれど体を向き直して千花は答えた。

「ありがとうございます、本当に反省します。POPとポスターは家で作ってきますね。よかったらこの絵本貸してもらえませんか?」

「絵本は俺の私物だから問題ねえよ。それじゃあ土曜日に持ってきてくれ……まだ調子戻らねえなら車出すぞ」

「もう大丈夫です!これ以上迷惑は……」

「そうか」

 柳木はそう言うとカウンターの方へ戻っていった。柄にもないことをしたという風で微妙な表情を浮かべている。

 最近は遠慮のない関係だったので、弱いところを見られ、千花自身落ち着かなかった。

 ……お言葉に甘えて、今日はもう帰ろう。

 慰められて、泣いたのもバレバレだろう。恥ずかしくなった千花は絵本と道具を手早くまとめ、速足でバックヤードに逃げ込んだ。

 そうして、ふと空想のシンデレラに思いを巡らせるのだった。
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