妹と人生を入れ替えました~皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです~
「なんだよ、憂炎の奴」
憂炎が何と言おうと、あいつの妃は二人存在している。
昨日まで期間限定の妃をしていたわたしと、これから先ずっと、憂炎の妃として生きていく華凛。あいつが想い描く『凛風』という虚像の中に、二人存在しているんだ。
そんなこと、憂炎は当然知らない。だけど、事実は絶対変わらない。
(どうして憂炎はあんなに怒ってるんだ?)
普通、これまで散々可愛がってきた妹分に『妻になりたい』なんて言われたら喜ぶものだろう。不敬と受け取った可能性は無きにしも非ずだけど、それにしたって変な怒り方だ。あいつの考えが、わたしにはちっとも理解できない。
(でも、これで良いんだよな)
これでもう、憂炎がわたしを求めることはない。
だって、わたしは『華凛』だ。これから『華凛』として一生、生きていくんだもん。
憂炎は思う存分、華凛を――――『凛風』を求めてくれれば良い。
「憂炎のバカ」
呟きながら、訳もなく胸が痛んだ。
憂炎が何と言おうと、あいつの妃は二人存在している。
昨日まで期間限定の妃をしていたわたしと、これから先ずっと、憂炎の妃として生きていく華凛。あいつが想い描く『凛風』という虚像の中に、二人存在しているんだ。
そんなこと、憂炎は当然知らない。だけど、事実は絶対変わらない。
(どうして憂炎はあんなに怒ってるんだ?)
普通、これまで散々可愛がってきた妹分に『妻になりたい』なんて言われたら喜ぶものだろう。不敬と受け取った可能性は無きにしも非ずだけど、それにしたって変な怒り方だ。あいつの考えが、わたしにはちっとも理解できない。
(でも、これで良いんだよな)
これでもう、憂炎がわたしを求めることはない。
だって、わたしは『華凛』だ。これから『華凛』として一生、生きていくんだもん。
憂炎は思う存分、華凛を――――『凛風』を求めてくれれば良い。
「憂炎のバカ」
呟きながら、訳もなく胸が痛んだ。