妹と人生を入れ替えました~皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです~
今からひと月前、憂炎は本当に皇太子として即位してしまった。あいつに妃の話を持ち掛けられてから、たった数日後のことだ。
あおりを受けた父様は数日間家に帰ってこなかった。憂炎の即位に合わせて、高官達の人事にも異動が生じた上、色々と決めることがあったらしい。
ようやく帰って来たかと思うと、開口一番、憂炎の妃としてわたしが内定したと告げられた。
「――――そのお話、お受けする以外の選択肢は?」
「当然ない」
父様は至極真剣な表情で、わたしのことを見つめた。珍獣でも見るかのような酷い表情だ。
そりゃあ出世の機会をみすみす逃す男はいないって分かってるけど、娘相手にそんな顔をしないでほしい。心臓がバクバクと嫌な音を立てて鳴った。
「すぐに入内の準備を進めなさい。憂炎――――いや、東宮様に失礼のないよう、己の振る舞いを見直さなければならん」
(無理だろ、そんなの)
父様の言う準備が何か分からないし、憂炎相手に失礼をしないとか、振る舞いを見直すとか、不可能だ。
そう思ったけど、この時点で既に、わたしは華凛と入れ替わりの密約を交わしていた。
「――――承知しました」
抵抗するだけ時間の無駄なので、そんな風に答えて部屋を後にした。
あおりを受けた父様は数日間家に帰ってこなかった。憂炎の即位に合わせて、高官達の人事にも異動が生じた上、色々と決めることがあったらしい。
ようやく帰って来たかと思うと、開口一番、憂炎の妃としてわたしが内定したと告げられた。
「――――そのお話、お受けする以外の選択肢は?」
「当然ない」
父様は至極真剣な表情で、わたしのことを見つめた。珍獣でも見るかのような酷い表情だ。
そりゃあ出世の機会をみすみす逃す男はいないって分かってるけど、娘相手にそんな顔をしないでほしい。心臓がバクバクと嫌な音を立てて鳴った。
「すぐに入内の準備を進めなさい。憂炎――――いや、東宮様に失礼のないよう、己の振る舞いを見直さなければならん」
(無理だろ、そんなの)
父様の言う準備が何か分からないし、憂炎相手に失礼をしないとか、振る舞いを見直すとか、不可能だ。
そう思ったけど、この時点で既に、わたしは華凛と入れ替わりの密約を交わしていた。
「――――承知しました」
抵抗するだけ時間の無駄なので、そんな風に答えて部屋を後にした。