妹と人生を入れ替えました~皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです~
華凛に『憂炎の気持ちに応えてほしい』と伝えたあの日から――――ううん、憂炎に『妃になって欲しい』と言われた日からずっと、わたしは自分の中のよく分からない感情とずっと戦い続けていた。
憂炎の顔を見るだけで、訳も分からず苦しくて。胸が痛くなったり、身体が熱くなったり、自分でちっとも制御できない。
それなのに会いたいだなんて――――憂炎の声が聴きたくて、笑顔が見たくて、前みたいに抱き締められたいって思ってしまう。
あいつはわたしじゃなくても良いのに。
自分から華凛に全てを託したのに。
馬鹿みたいだ。自分が嫌で嫌で堪らなかった。
「おまえ自身が、結婚を望んでいるのか?」
「もちろんですわ」
この結婚に多くを望みはしない。
ほんの少しの自由があれば最高で、愛情なんて望まないし、他に女を作っても構わない。わたしを憂炎から引き離してくれればそれで良かった。
「許さない」
「……え?」
気づけば憂炎はわたしの目の前にいた。眉間に深く皺を寄せ、唇を真一文字に引き結んだその表情は、怒っているのか悲しんでいるのか、よく分からない。
「俺以外の男と結婚するなんて、許すわけがないだろう」
あまりにも身勝手な発言。怒りで胸が熱くなった。
(どうして『華凛』になってまで、そんなこと言われないといけないんだ!)
悔しくて、腹立たしくて、目頭がグッと熱くなる。
もう我慢なんて出来なかった。
「許さない? どうして憂炎の許可が必要なのです⁉ わたくしはあなたにとって、ただの妹分でしょう? 妃でもなければ、恋人でもありませんもの! 指図される謂れはありませんわ!
お願いですから、わたくしのことはもう放っておいてください! 姉さまと仲良く暮らしてくだされば、わたくしはそれで――――」
けれど、わたしの言葉は唐突に遮られた。
さっきよりもずっと近くに憂炎の瞳が見えて、唇を温かな何かが包み込む。触れた唇、肌がジンジン疼いて、甘くて苦くて堪らない。
(どうして⁉ どうしてこんなことするんだ⁉)
わたしは『華凛』だ。憂炎が妃にしたいのは『凛風』であって、わたしじゃない。
『凛風』が唯一の妃だって言ったじゃない。
あんなに好きだって。想いに応えてほしいって言ってたくせに。
(どうして『華凛』にキスなんてするの?)
憂炎の顔を見るだけで、訳も分からず苦しくて。胸が痛くなったり、身体が熱くなったり、自分でちっとも制御できない。
それなのに会いたいだなんて――――憂炎の声が聴きたくて、笑顔が見たくて、前みたいに抱き締められたいって思ってしまう。
あいつはわたしじゃなくても良いのに。
自分から華凛に全てを託したのに。
馬鹿みたいだ。自分が嫌で嫌で堪らなかった。
「おまえ自身が、結婚を望んでいるのか?」
「もちろんですわ」
この結婚に多くを望みはしない。
ほんの少しの自由があれば最高で、愛情なんて望まないし、他に女を作っても構わない。わたしを憂炎から引き離してくれればそれで良かった。
「許さない」
「……え?」
気づけば憂炎はわたしの目の前にいた。眉間に深く皺を寄せ、唇を真一文字に引き結んだその表情は、怒っているのか悲しんでいるのか、よく分からない。
「俺以外の男と結婚するなんて、許すわけがないだろう」
あまりにも身勝手な発言。怒りで胸が熱くなった。
(どうして『華凛』になってまで、そんなこと言われないといけないんだ!)
悔しくて、腹立たしくて、目頭がグッと熱くなる。
もう我慢なんて出来なかった。
「許さない? どうして憂炎の許可が必要なのです⁉ わたくしはあなたにとって、ただの妹分でしょう? 妃でもなければ、恋人でもありませんもの! 指図される謂れはありませんわ!
お願いですから、わたくしのことはもう放っておいてください! 姉さまと仲良く暮らしてくだされば、わたくしはそれで――――」
けれど、わたしの言葉は唐突に遮られた。
さっきよりもずっと近くに憂炎の瞳が見えて、唇を温かな何かが包み込む。触れた唇、肌がジンジン疼いて、甘くて苦くて堪らない。
(どうして⁉ どうしてこんなことするんだ⁉)
わたしは『華凛』だ。憂炎が妃にしたいのは『凛風』であって、わたしじゃない。
『凛風』が唯一の妃だって言ったじゃない。
あんなに好きだって。想いに応えてほしいって言ってたくせに。
(どうして『華凛』にキスなんてするの?)