スキナダケ
「ハナちゃんは何も悪くないよ。親が誰だろうがハナちゃんはハナちゃんでしょ」

「でもハナは人殺しだよ。一人や二人じゃない」

夕海がハナの胸元に顔を寄せて、体を小さく丸めた。
赤ちゃんをあやしてるみたいな気持ちになる。

「その人達にとってはハナちゃんが救いだったんだよ」

「でもハナが居なければ、いつかは生きたい未来があったかもしれない」

「もしもなんてくだらない。空気って何味なんだろうって討論してるみたいなもんよ。ハナちゃんと出会った時、その人達は死にたかった。だから死んだ。自殺する勇気は無いからハナちゃんに殺してもらった。ハナちゃんはその人達にとっては救世主よ」

「ん…」

「じゃあさ、ハナちゃんはもしも私と出会ってなかったら、どう?」

今も夕海に出会ってなかったら。
頭の中でイメージしてみる。
中学の時の自分を思い出して、高校の友達の中でチヤホヤされたり、陰で人を殺すことだけで自分の生きた証を刻んだり。

心はずっと孤独だった。
それを認めてしまうのが怖いから、平気なふりをした。

夕海が居ない未来。
誰もハナを認めてくれない未来。

そんな未来なら要らない。
夕海が居ないならハナだってもう、死んでしまいたい。

「夕海はハナの救いだよ」

夕海がキスをくれる。
この世で一番のご褒美を。
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