スキナダケ
「夕海…」

「ハナちゃん」

「え…?」

「私達も子ども、つくろっか」

「子ども…え、子ども?えっと…、なんで?」

夕海は恍惚としたままの目でハナを見つめた。
繰り返される夕海の、ゆっくりとした呼吸音がやけに近く聴こえる。

「私もハナちゃんの遺伝子が欲しい。そして可愛い男の子を産むの。ハナちゃんのお母さんみたいに今の年齢で。私だけの美しい男の子を」

「ダメだよ夕海…。ハナは子どもなんて要らない。夕海が居ればそれだけでなんにも要らないよ?」

「ハナちゃんは酷い。このままじゃ私、ハナちゃんのお母さんに嫉妬しておかしくなっちゃいそう」

「ハナはっ…ママの物なんかじゃない。ハナは…」

「ハナちゃんの心がそうでも、実際はハナちゃんの顔も体も血液も遺伝子もお母さんの物なの。お母さんの作品。私も私だけの美しい作品が欲しいの」

「作品…」

何度も何度も自分で思ったことを、大事な人に言われるとグサっとクる。

ハナはママの作品。
何者にもなれずに、人より容姿が優れ過ぎて気味悪がられて、必死に心を守ろうとしても出来なかった。

ママが作った作品は誰かに愛されるオブジェにもなれない、ただのガラクタだった。

「ハナは…夕海の物じゃないの…。ハナの飼い主は夕海でしょ?だから夕海の好きにしていいんだよ」

「中古は嫌なの」

「中古…」

「ハナだけの、綺麗な男の子が欲しい」

「でも…ほら…、ハナみたいな殺人鬼になっちゃうかも」

「それはハナちゃんの個性っていうか、後天的な物じゃない?ハナちゃんのDNAなわけじゃないし、ていうかそれなら尚更、新品の美しい男の子がいいわ。ねぇ、私の好きにしていいんでしょ?だったらお願い。ハナちゃんと私の子ども、私にちょーだい」
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