スキナダケ
いつもの夕海はもっとゆっくり、言葉をていねいに発音する。

この時の夕海は違った。
例えるなら、推しを目の前にして興奮が抑えられないオタクみたいに、言葉をまくし立てる。

頬が赤い。
本当にハナに憧れてたんだ。
ハナが好きだったんだ。

中性的なハナを。
今のハナじゃないハナを。

この光景はおかしいって思った。
ハナを支配してるのは夕海のはずなのに、
ハナの存在は夕海の為に在るのに、これじゃあまるで夕海の心が過去のハナに支配されている。

それは変だよ。
ハナが生きる為に夕海が道を示してくれなきゃ。
夕海がハナの全部を好きにしていいのに、今の夕海は過去のハナに執着してる。

夕海。夕海…。
こっちを見てよ。
ちゃんとハナを見てよ…。
< 130 / 235 >

この作品をシェア

pagetop