スキナダケ
「ねぇ、何それ?なんかちょっと感じ悪くない?」

「…夕海が言ったんだよ。中古なんて要らないって。僕が汚れてるから、もう夕海が好きでいてくれた頃の可愛いハナじゃないから要らなくなったんだよね?だから僕も過去の僕なんて要らないから、夕海に全部あげるって言ってるんだよ」

夕海がハナの肩を強く押して、体が壁にぶつかった。
睨みつけるみたいにハナを見上げる夕海の目が悲しかった。

ハナにそう言われて悲しいとか寂しいとかじゃないと思う。
単純に腹が立ってるだけなんだろう。

「要らないなんて一言でも言った!?ハナちゃんが要らないなんて言ってないよねぇ!?」

「同じでしょ…。僕じゃダメだから新しくて綺麗な物が欲しくて、それがどうせなら最高の容姿がいいから、僕の遺伝子だけ欲しいんでしょ…」

「最低!じゃあハナちゃんはもう私のことが要らないんだね!過去と一緒に捨てるんだね!もう私のこと選ばないんでしょ!?」

「選ぶよ!!!」

大声を出したハナを、夕海は睨んだままだった。

ハナのことが要らないって、確かに夕海ははっきりとは言ってないけれど、ハナ以上の物が見つかればきっと要らなくなる。
そう言われることが恐ろしかった。

「夕海を選ぶよ…」

「…」

「夕海を選ぶよ。夕海がハナだけを見ててくれたら。ちゃんと僕を縛りつけててよ。夕海がどこにも行かないでいてくれたら僕は…ハナは夕海を選ぶよ。夕海だけでいいんだよ…」

ハナがママの子どもじゃなかったら良かったのかな。
でもそしたら容姿だってこんなんじゃない。
夕海とだって出会ってなかったかもしれない。

ママの子どもであっても、ママがハナに執着してなければ。

ううん。
もういっそ、こんな容姿じゃなくて、どうでもいい人間の欲望になんか流されないで綺麗なままのハナだったら、夕海はずっと、ずっとずっとハナだけを求めてくれた?

ハナだけに執着して、傍に居てくれたの?

要らないなんて言わないでよ。

嫌だよ。

怖いよ。
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