スキナダケ
某日。

お父さんに頼んで夕海をハナの家に呼び出した。
来てくれるかは賭けだった。
街で会った時の別れ方が嫌な感じだったから望みは薄かった。

でも、夕海は約束の時間通りに来てくれた。

正午ぴったり。
初めてこの家に来た日と同じように玄関越しに「夕海です」って言った彼女を魚眼レンズから覗いた。

隣には「彼氏」も居る。
これも計画通り。

夕海は来てくれても、彼氏を連れてきてくれるかってことのほうがもっと望みが薄かったから安心した。

「いらっしゃい」

出迎えたハナに、夕海はいつもと変わらない笑顔で笑いかけた。
その笑顔を見るだけで気持ちがチクってした。

もうハナだけの物じゃないのに。
今はずっと彼氏に向けられてるのかと思うと何もかもを今すぐにグチャグチャにしてやりたくなる。
< 165 / 235 >

この作品をシェア

pagetop