キミの恋のはじまりは

泉の部屋で、フォンダンショコラに差し込んだスプーンを握り締めて愕然とする私。


こ、これは……。


キッチンを借りてフォンダンショコラを温めて、バニラアイスとクリームを添えて。

自分でいうのもなんですけど、私は頑張った、はず。


けれど…、努力は必ずしも報われるものではないらしい。


昨日、試食したときは確かにとろりと流れ出したチョコレート。

でも目の前のお皿に盛られたそれは、まるでガトーショコラみたいだけど。


なんでなの?!

1日経っちゃうとダメなの?

それとも温め過ぎた?


むぅ…とスプーンを握ったまま、フォンダンショコラを凝視する私に泉が苦笑いする。



「……美味しそうだよ?」



私の落ち込みを察知した、となりに座る泉が慰めにかかってくる。

眉を下げてやさしく笑ってくれるけれど、かえって居心地悪い……。


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