キミの恋のはじまりは
唇を尖らせて泉を見れば、よしよしと撫でてくれた。
「……ちがう。本当はチョコがとろ~って出てくるはずだったの。これじゃガトーショコラみたいじゃん…」
「俺、それも好きだけど」
「とろとろのフォンダンショコラをあげたかったの」
「言ったじゃん。莉世ならなんでもいいって」
「……そ、だけど……」
……腑に落ちない。
お皿の上のバニラアイスが、少し形を崩し始めてきた。
美味しいフォンダンショコラ、食べて欲しかったのに…仕方がない。
予定とは違うけど
「…、あげる」
泉の方にお皿とスプーンを差し出すと、何か企んだようなにっこり笑顔と目が合った。
「食べさせて?」
「へ?」
「あーん」
泉は口を小さく開けながら、私の腰をくいっと引き寄せた。
「きゃっ、」
手の中のお皿が転げ落ちないように咄嗟に腕を頭上に上げて守ったけれど、バランスを崩した体はそのまま泉の胸になだれ込んだ。
「〜っ、」
少し後ろに上体を倒して私を受け止めた泉の、その足の間に倒れ込んだようになる。
片手にお皿、もう片手にスプーンを握り、万歳したようなポーズの私。
そのせいで泉に完全に身を預けざるを得ない状態で……。
泉の香りが濃くなって、熟れたような湿った視線を注がれれば、もう身動きなんてできなくなった。
ぴったりと密着した体、唇が触れるか触れないか、そんな距離で
「……いい?」
何かを聞いたくせに、泉は返事を待たないで、あっという間にかぷっと私の唇を食べた。