キミの恋のはじまりは
「そんなとこで寝たら風邪ひく」
静かな声がする。
落ちそうな瞼をなんとか堪えば、揺れる双眸が私を見ていた。
泉はローテーブルを少しずらして、肩にかけてくれた自分のパーカーを両手で前の方に引っ張りながら
「……あんまり薄着してくんな」
ほら、と腕を通すよう促す。
「うん、ごめん……」
言われるまま、膝を抱えていた腕を崩して、パーカーに右腕を通す。
「こっち、左も」
「うん」
泉は私が着やすいように、パーカーの袖をずらし用意てくれている。
両腕を通し終われば、襟元を整えてくれた。