キミの恋のはじまりは

ねむいなぁ……。家に帰ろうかなぁ。泉の邪魔しちゃいけないし。でも、なんか目が上手く開かないなぁ。


重くなった身体を動かせずにいれば、どんどん眠気が深くなっていく。

立てた膝頭に首を倒して頬を乗せて、身をきゅっと縮こませる。


……小学生の時は、こんなふうに泉の部屋でよく時間潰してたなぁ。


あの頃は潤くんも一緒で……。でも今はもういない。


……幼馴染って不便だなぁ。


引き止める術が、ない……。


ふわっと肩に何かが落ちてきたような感覚があったから、すでに閉じていた目をうっすらと開けば、目の前に片膝をついた泉がいた。


……泉はまだいてくれるんだ。


鼻の奥がつんっとした。

< 40 / 277 >

この作品をシェア

pagetop