純愛カタルシス💞純愛クライシス
♡♡♡
次の日、部署で扱った書類を整理し、関連企業に郵送する仕事を与えられ、郵便局に向かった。
勤務中に滅多に外に出ることがないので、いい気分転換になる。弾んだ足どりで歩いていると、目の前にいる人混みの中から、背の高い学くんを見つけた。
声をかけようと踏み出した足が寸前のところで止まり、慌てて建物の影に隠れてしまった。学くんはひとりじゃなく、明るい茶髪の女性と一緒だった。
ふたりが並んで歩いている様子は、年相応の恋人に見えなくもない。
熱心に話しかける女性に、真剣な表情で相槌を打つ学くんが、私の横を通り過ぎる。
(学くんが仕事してるところを、はじめて見るな――)
カメラが入ってるであろう大きな鞄を肩にかけて、にこやかな様子で女性に話しかける横顔を眺めた。どんどん遠くなっていく背中を見ているうちに、足が自然と彼らを追いかける。
どこに向かっているのかわからないし、違う方向に歩んでいることにも罪悪感があった。それなのに追いかけてしまうのは、どうしても気になったせい。
学くんが私を裏切るハズない――だけど過去に酷い仕打ちをくらった経験が、私の足を動かした。そして学くんが背後を歩く私に気づいて、振り返ってくれないかななんて、都合のいいことを考えてしまう。
声をかければ学くんが気づく距離感を保ちながら、静かに歩く。ときどき学くんの声が耳に聞こえてきて、私と喋っている普段との違いに驚いた。目に見える形で表現するなら、ひらがなとカタカナ。
女性と喋っている学くんは、ハキハキした感じで話しかけるのに、私には甘えるようでいて、包み込む優しさを感じさせる口調で喋る。最近は特にそれを感じさせることが多くて、疲れた私の心を癒してくれる。
「学くん、大好き……」
小さな声で呟きながら、すぐ傍にある建物の影に入り込んだ。
「ちょっと白鳥、なにいきなり立ち止まってんのよ!」
苛立ちを含んだ女性の声で、学くんがその場に佇んだのがわかった。
(すごく小さな声で呟いたはずなのに、学くんの耳に入ったの!?)
建物に背を預けながら胸のドキドキを感じつつ、学くんに見つけてほしい気持ちと早く立ち去ってほしい気持ちが、心の中でせめぎ合った。
「白鳥、誰か捜してるの?」
「まぁ、うん。知ってる人がいたような気がして……」
「はいはい、白鳥はモテるからね。誰かの目に留まって、一目惚れされたんじゃない?」
「違う、そうじゃなくて」
「今日中にネタを提出したいんだから、さっさと行って撮影しなきゃだよ。ほら、仕事仕事!」
女性に促された学くんが去って行く感じを、なんとなく肌で感じた。しばらくしてから通りに戻ると、いつもの風景がそこにあって、学くんはいなくなっていた。
突然起こった小さなラッキーに感謝しながら、急いで郵便局に向かったのだった。
次の日、部署で扱った書類を整理し、関連企業に郵送する仕事を与えられ、郵便局に向かった。
勤務中に滅多に外に出ることがないので、いい気分転換になる。弾んだ足どりで歩いていると、目の前にいる人混みの中から、背の高い学くんを見つけた。
声をかけようと踏み出した足が寸前のところで止まり、慌てて建物の影に隠れてしまった。学くんはひとりじゃなく、明るい茶髪の女性と一緒だった。
ふたりが並んで歩いている様子は、年相応の恋人に見えなくもない。
熱心に話しかける女性に、真剣な表情で相槌を打つ学くんが、私の横を通り過ぎる。
(学くんが仕事してるところを、はじめて見るな――)
カメラが入ってるであろう大きな鞄を肩にかけて、にこやかな様子で女性に話しかける横顔を眺めた。どんどん遠くなっていく背中を見ているうちに、足が自然と彼らを追いかける。
どこに向かっているのかわからないし、違う方向に歩んでいることにも罪悪感があった。それなのに追いかけてしまうのは、どうしても気になったせい。
学くんが私を裏切るハズない――だけど過去に酷い仕打ちをくらった経験が、私の足を動かした。そして学くんが背後を歩く私に気づいて、振り返ってくれないかななんて、都合のいいことを考えてしまう。
声をかければ学くんが気づく距離感を保ちながら、静かに歩く。ときどき学くんの声が耳に聞こえてきて、私と喋っている普段との違いに驚いた。目に見える形で表現するなら、ひらがなとカタカナ。
女性と喋っている学くんは、ハキハキした感じで話しかけるのに、私には甘えるようでいて、包み込む優しさを感じさせる口調で喋る。最近は特にそれを感じさせることが多くて、疲れた私の心を癒してくれる。
「学くん、大好き……」
小さな声で呟きながら、すぐ傍にある建物の影に入り込んだ。
「ちょっと白鳥、なにいきなり立ち止まってんのよ!」
苛立ちを含んだ女性の声で、学くんがその場に佇んだのがわかった。
(すごく小さな声で呟いたはずなのに、学くんの耳に入ったの!?)
建物に背を預けながら胸のドキドキを感じつつ、学くんに見つけてほしい気持ちと早く立ち去ってほしい気持ちが、心の中でせめぎ合った。
「白鳥、誰か捜してるの?」
「まぁ、うん。知ってる人がいたような気がして……」
「はいはい、白鳥はモテるからね。誰かの目に留まって、一目惚れされたんじゃない?」
「違う、そうじゃなくて」
「今日中にネタを提出したいんだから、さっさと行って撮影しなきゃだよ。ほら、仕事仕事!」
女性に促された学くんが去って行く感じを、なんとなく肌で感じた。しばらくしてから通りに戻ると、いつもの風景がそこにあって、学くんはいなくなっていた。
突然起こった小さなラッキーに感謝しながら、急いで郵便局に向かったのだった。