純愛カタルシス💞純愛クライシス
♡♡♡
これは臥龍岡先輩と連絡をとって、成臣くんを落とすために、作戦会議をしたときの話。
「千草ちゃん、いいタイミングで電話してくれたわ。このままじゃ一ノ瀬の仕事のクオリティが落ちるところまで落ちて、編集長から肩を叩かれる事態に発展するかもしれない、瀬戸際だったのよ」
「そうだったんですか……」
会社近くの喫茶店で待ち合わせた。臥龍岡先輩の口から、大好きな成臣くんのことを語られるおかげで、温かいコーヒーに手をつける暇がない。
「アイツが今までなんとかやってこれたのは、ワンナイトラブという疑似恋愛に興じていたからだと思うのよ。だけどここにきて――」
私の顔から、テーブルに置かれたコーヒーに視線を落とした臥龍岡先輩。悲しそうな面持ちをみているだけで、胸が痛くなってしまう。
「一ノ瀬の心の奥底にしまいこんでいた復讐心を、引っ張りあげてしまったから。第三者の立場として、それに手を貸すように言ったのは、私なんだけどね」
「なにか意図があったんですよね?」
そう思ったので、臆することなく問いかけてみた。
「復讐心なんてそんなどす黒い感情、墓場まで持って行かなくてもいいと思ったの。サポートする形でも復讐に手を貸すことをして、アイツの中にあるその感情を昇華させたかったのよ」
テーブルに両肘をついて手を組み、額を押しつけて目を閉じる臥龍岡先輩の様子は、なんだかお祈りしているように見えた。
「復讐はうまいこと遂行されて、成臣くんの心の中は空っぽになった……」
「そんなところに千草ちゃんが告ったもんだから、いつも以上に混乱をきたしているというわけ」
成臣くんに告白する直前は、敬語じゃなく友達のようなやり取りがなされたというのに、告った直後から彼の様子が一変した。
『やっ、なにを言い出すかと思ったら。こんなオッサンのどこが好きなんだか。千草ちゃん、相当趣味が悪いですって』
ふたたび敬語を使って、私との見えない線を引き直し、距離をとったと思ったら。
『……千草ちゃんの気持ちは嬉しいが、俺は誰かに好かれるような男じゃない。一夜限りにするなら、喜んで相手をしてやる』
影のできる深い溝を構築するような言葉を吐き捨てられて、すごくショックだった。
「成臣くんが過去に不倫してるって話をしたときに、私はそれでもかまわないって言いきれたら、まだ違った展開になっていたのかもしれないのに」
告白を拒否られたことと、不倫相手を深く愛していたことがショックだった。過去のことを晒すことで、みずから嫌われようとした成臣くんの気持ちを、あのとき慮ってあげることができなかった自分が悔しい。
「ただ嘆いていてもはじまらないわよ。一ノ瀬と添い遂げたいんでしょ?」
挑むような力強い声が、私の沈んだ心を浮上させる。
「成臣くんと一緒になりたいです」
「アイツが作りあげた、心が傷つかないための最新鋭のレーダーを使って、体ごと一ノ瀬を揺さぶってやりましょう。敏感すぎるせいで気づいてしまうことを、逆手にとるのよ。その違和感を覚えたら、アイツは千草ちゃんを気にせずにはいられない」
長い間、成臣くんと一緒にいる臥龍岡先輩の作戦は、本当に舌を巻くものだった。それに耳を傾けながら、気づいたところで自分の意見を告げて、さらに練りあげていく。
確実に成臣くんを手に入れるために、ふたりで時間をかけて話し込んだのだった。
これは臥龍岡先輩と連絡をとって、成臣くんを落とすために、作戦会議をしたときの話。
「千草ちゃん、いいタイミングで電話してくれたわ。このままじゃ一ノ瀬の仕事のクオリティが落ちるところまで落ちて、編集長から肩を叩かれる事態に発展するかもしれない、瀬戸際だったのよ」
「そうだったんですか……」
会社近くの喫茶店で待ち合わせた。臥龍岡先輩の口から、大好きな成臣くんのことを語られるおかげで、温かいコーヒーに手をつける暇がない。
「アイツが今までなんとかやってこれたのは、ワンナイトラブという疑似恋愛に興じていたからだと思うのよ。だけどここにきて――」
私の顔から、テーブルに置かれたコーヒーに視線を落とした臥龍岡先輩。悲しそうな面持ちをみているだけで、胸が痛くなってしまう。
「一ノ瀬の心の奥底にしまいこんでいた復讐心を、引っ張りあげてしまったから。第三者の立場として、それに手を貸すように言ったのは、私なんだけどね」
「なにか意図があったんですよね?」
そう思ったので、臆することなく問いかけてみた。
「復讐心なんてそんなどす黒い感情、墓場まで持って行かなくてもいいと思ったの。サポートする形でも復讐に手を貸すことをして、アイツの中にあるその感情を昇華させたかったのよ」
テーブルに両肘をついて手を組み、額を押しつけて目を閉じる臥龍岡先輩の様子は、なんだかお祈りしているように見えた。
「復讐はうまいこと遂行されて、成臣くんの心の中は空っぽになった……」
「そんなところに千草ちゃんが告ったもんだから、いつも以上に混乱をきたしているというわけ」
成臣くんに告白する直前は、敬語じゃなく友達のようなやり取りがなされたというのに、告った直後から彼の様子が一変した。
『やっ、なにを言い出すかと思ったら。こんなオッサンのどこが好きなんだか。千草ちゃん、相当趣味が悪いですって』
ふたたび敬語を使って、私との見えない線を引き直し、距離をとったと思ったら。
『……千草ちゃんの気持ちは嬉しいが、俺は誰かに好かれるような男じゃない。一夜限りにするなら、喜んで相手をしてやる』
影のできる深い溝を構築するような言葉を吐き捨てられて、すごくショックだった。
「成臣くんが過去に不倫してるって話をしたときに、私はそれでもかまわないって言いきれたら、まだ違った展開になっていたのかもしれないのに」
告白を拒否られたことと、不倫相手を深く愛していたことがショックだった。過去のことを晒すことで、みずから嫌われようとした成臣くんの気持ちを、あのとき慮ってあげることができなかった自分が悔しい。
「ただ嘆いていてもはじまらないわよ。一ノ瀬と添い遂げたいんでしょ?」
挑むような力強い声が、私の沈んだ心を浮上させる。
「成臣くんと一緒になりたいです」
「アイツが作りあげた、心が傷つかないための最新鋭のレーダーを使って、体ごと一ノ瀬を揺さぶってやりましょう。敏感すぎるせいで気づいてしまうことを、逆手にとるのよ。その違和感を覚えたら、アイツは千草ちゃんを気にせずにはいられない」
長い間、成臣くんと一緒にいる臥龍岡先輩の作戦は、本当に舌を巻くものだった。それに耳を傾けながら、気づいたところで自分の意見を告げて、さらに練りあげていく。
確実に成臣くんを手に入れるために、ふたりで時間をかけて話し込んだのだった。