純愛カタルシス💞純愛クライシス
半年間という時間が経ってしまうと、過去のことを冷静に眺めることができた。幸恵さんにとって俺は、都合のいいオトコだったというだけ。ただそれだけの存在なんだって。
そんな彼女を恨み、復讐心に駆られていろいろ考えてみたものの、それをする価値のない人間だということもわかった。
俺を捨てたあとに、ほかの誰かと関係を持つのは、なんとなく予想できたし、俺が手を下すまでもない、彼女が同じような傷つく捨て方をすれば、きっと誰かがやるだろう。
「一ノ瀬、もうエネルギーは、充分にたまってるわよね?」
俺を現実に引き戻す、副編集長から訊ねられた言葉。だからこそ落ち込みまくった、当時のやり取りをしっかり思い出す。
「悪いが俺は、毎日を適当に生きるのに必死だ。恋愛なんてくだらないことに、エネルギーを割くなんてできない」
「今後ちゃんとした恋愛しないと、いい写真が撮れないってわかってんの?」
より一層低い声で副編集長は言いながら、黄門様の印籠のように、自分のスマホを掲げる。そこに映っていたのは、白鳥の幼なじみちゃんで、くすぐったさを感じさせるような照れたほほ笑みが、彼女のしあわせな様子を表していた。
「これは白鳥が撮影したものよ。見たらわかるでしょ、構図からなにから、まるでなっていないけど、自然と目の惹きつけられるなにかがあるって!」
「そうだな、素直にいい写真だと言いきれる」
感動する気持ちを押し殺すように、しれっとしながら思ったことを口にした。俺が表現できないことをやってのけた白鳥に、すげぇなって思わされる。
「プロのアンタの写真からは、これが感じられないの。仕事に支障をきたしているのよ!」
副編集長として仕事目線から、そして友人として心配しているからこそ的確なアドバイスは、ときに俺を傷つける。以前ならそれに反発して「うっせぇな、やればいいんだろ!」って捨て台詞を怒鳴り声でやり返していたが。
「恋愛する気になれないのに、そんな写真撮れない……」
恋愛することに拒否しかできない俺は、反発することも無理な話だった。
「成臣くん、無理じゃないよ」
椅子に腰かけていた千草ちゃんが立ち上がり、俺の前まで来て跪く。そして利き手をぎゅっと両手で握りしめた。包み込まれた利き手から千草ちゃんのぬくもりがじわりと伝わり、荒んでいた気持ちが少しだけ和らぐ。
彼女を傷つけないように、顔を見つめながらやんわりと告げる。
「千草ちゃん、そんなこと言っても、俺は無理なんだって」
「一ノ瀬、上司命令よ。友だちから彼女と付き合ってみて」
「は? 友達?」
奇妙ともとれる上司命令に、眉根を寄せた。
「そうよ。そして一緒に遊びに出かけたときは、必ず写真を撮ること。スマホで撮ってね。それを私に送ってちょうだい」
「おまっ、なにを言って――」
「千草ちゃん、そこからはじめても大丈夫よね?」
副編集長は俺の返事を聞かずに、千草ちゃんに問いかけた。俺の利き手を掴んだまま、小さく頷いた千草ちゃんの顔は、どこからみてもやる気満々にしか見えない。
「成臣くん、よろしくね!」
迫力のある笑顔と断りきれない覇気のある『よろしくね!』は、俺の拒否する返答を見事に奪ったのだった。
そんな彼女を恨み、復讐心に駆られていろいろ考えてみたものの、それをする価値のない人間だということもわかった。
俺を捨てたあとに、ほかの誰かと関係を持つのは、なんとなく予想できたし、俺が手を下すまでもない、彼女が同じような傷つく捨て方をすれば、きっと誰かがやるだろう。
「一ノ瀬、もうエネルギーは、充分にたまってるわよね?」
俺を現実に引き戻す、副編集長から訊ねられた言葉。だからこそ落ち込みまくった、当時のやり取りをしっかり思い出す。
「悪いが俺は、毎日を適当に生きるのに必死だ。恋愛なんてくだらないことに、エネルギーを割くなんてできない」
「今後ちゃんとした恋愛しないと、いい写真が撮れないってわかってんの?」
より一層低い声で副編集長は言いながら、黄門様の印籠のように、自分のスマホを掲げる。そこに映っていたのは、白鳥の幼なじみちゃんで、くすぐったさを感じさせるような照れたほほ笑みが、彼女のしあわせな様子を表していた。
「これは白鳥が撮影したものよ。見たらわかるでしょ、構図からなにから、まるでなっていないけど、自然と目の惹きつけられるなにかがあるって!」
「そうだな、素直にいい写真だと言いきれる」
感動する気持ちを押し殺すように、しれっとしながら思ったことを口にした。俺が表現できないことをやってのけた白鳥に、すげぇなって思わされる。
「プロのアンタの写真からは、これが感じられないの。仕事に支障をきたしているのよ!」
副編集長として仕事目線から、そして友人として心配しているからこそ的確なアドバイスは、ときに俺を傷つける。以前ならそれに反発して「うっせぇな、やればいいんだろ!」って捨て台詞を怒鳴り声でやり返していたが。
「恋愛する気になれないのに、そんな写真撮れない……」
恋愛することに拒否しかできない俺は、反発することも無理な話だった。
「成臣くん、無理じゃないよ」
椅子に腰かけていた千草ちゃんが立ち上がり、俺の前まで来て跪く。そして利き手をぎゅっと両手で握りしめた。包み込まれた利き手から千草ちゃんのぬくもりがじわりと伝わり、荒んでいた気持ちが少しだけ和らぐ。
彼女を傷つけないように、顔を見つめながらやんわりと告げる。
「千草ちゃん、そんなこと言っても、俺は無理なんだって」
「一ノ瀬、上司命令よ。友だちから彼女と付き合ってみて」
「は? 友達?」
奇妙ともとれる上司命令に、眉根を寄せた。
「そうよ。そして一緒に遊びに出かけたときは、必ず写真を撮ること。スマホで撮ってね。それを私に送ってちょうだい」
「おまっ、なにを言って――」
「千草ちゃん、そこからはじめても大丈夫よね?」
副編集長は俺の返事を聞かずに、千草ちゃんに問いかけた。俺の利き手を掴んだまま、小さく頷いた千草ちゃんの顔は、どこからみてもやる気満々にしか見えない。
「成臣くん、よろしくね!」
迫力のある笑顔と断りきれない覇気のある『よろしくね!』は、俺の拒否する返答を見事に奪ったのだった。