偽りの恋人と生贄の三日間

顔に出てる

 キトエは渋い顔をしてまたうなった。すごく表情に出ているのに、意外と分からない。勝ちたいけれど主に勝つわけにはいかないと葛藤しているのだろうか。考えても分からなくなってきたので、変えないことにした。キトエも変えないと宣言し、同時に額のカードを中央へ出した。

 キトエはハートの七。リコはスペードの二。キトエの勝ちだ。

「二って一番弱いカードじゃない。変えておけばよかった。キトエ顔から分かるかと思ったけど意外と分からなかったし。はい、じゃあ何でもひとつお願い聞くよ」

『もうお願いしないでほしい』と言われたらどうしようと思ったが、キトエは困った顔をしていた。

「主に命令するわけにはいかない」

 キトエはどこまでも仕事に真面目だ。

「別に命令じゃなくて当たり障りのない質問でも何でもいいんだよ? 好きな食べ物とか」

「リコの好きな食べ物はチョコレートだろ。知ってる」

 そう言ってキトエは考えているのか苦しそうな表情になってしまった。そこまで真剣に考えてくれているとは思わなかった。

「添い寝してほしいとか一緒に水浴びしたいとか」

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