偽りの恋人と生贄の三日間
 リコとキトエは出会ったときから主と騎士で、恋愛関係になってはいけない間柄で、キトエはリコを女性として見ていないだろうと思ったから、軽い気持ちで言ってみただけだった。

 けれど、キトエは黄緑の目を見開いて、黄緑に橙と黄色の欠片を揺らして、色をこぼしたように頬を染めた。

「主じゃなくても女性にそんなこと言ったらただの変態だろっ……」

 キトエの反応が意外だった。一応女性としては認識されているようだ。『主』という性別のない存在として扱われているのかと思っていた。

「ええと、ごめんね。冗談だよ。ほかにあったら言って」

「特にない」

 キトエは恥ずかしそうに顔をそらしてしまった。騎士にこういうことを言ってはだめだったか、とリコは反省する。

「じゃあお願いは取っておいていいから」

 聞こえているのかいないのか、キトエはリコのほうを見ないままだった。

「じゃあ二回目ね」

 カードを集めて切る。置いた山から、それぞれ一枚ずつ取って額へ掲げた。

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