偽りの恋人と生贄の三日間
 さあもっと傷付け。心の底から絶望しろ。ずっと隠してきた報いだ。泣く資格などない。好きだという想いを拒絶されて、心の底から絶望して生贄になれ。

「ごめんねキトエ。恋人ごっこに付き合ってくれてありがとう。キトエがわたしを好きじゃなくても、わたしは、キトエを好きでいさせて」

 不恰好だけれど、微笑めたと思った、のに。

 言葉の終わりの前に、体を引き寄せられる。

「ばか! 俺がずっと今までどんな気持ちでいたか知りもしないで……」

 背を、きつくキトエに抱かれている。キトエに触れている。抱きしめられている。

「俺にはリコしかいなかった。忠誠を誓った。女性と思う前に主と思うと決めた。主に想いを寄せるなんて許されない。だからずっと……押し殺してきたのに」

 キトエの声は泣いてしまいそうで、よく分からなかった。

「何、言ってるの?」

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