掴んだその手を離さないで! 〜優しすぎる幼馴染の絶対愛〜
「環っ !! 」

「え」

「さ、探したっ!
さっきの回はすまなかったっ! 」

突然大声で私の名前を呼び、駆けつけてきたのは拓郎だった。

午前の最後のプラネタリウムを終えて、私達を探していたのだろう。

額に汗が滲んでいる。

「……拓郎……」

「無事に終わったのか?」

美由紀に説教していた淳之介が、とても静かに話しかけてきた。

「ああ……。あ、淳も!
申し訳ないっ! 終わるまでお前たちが居ないことに気づいてなくて…」

「……ちょっと落ち着け」

ここで目立つな。

拓郎の耳元で、淳之介が囁く口元が見えた。

生徒会長の拓郎が走り回って私達を探しに来たのだ。

目立つことこの上ない。

どんな噂が立つかわからないのだ。
だから淳之介が拓郎を抑えるのもわかる。

私達は場所を移すことにした。


< 89 / 278 >

この作品をシェア

pagetop