二枚目俳優と三連休
エレベーターで7階にあがり、降りた。廊下の3番目の部屋が高柳のものらしい。高柳が鍵を開けて「入り」と手招きした。さなえは、バッグを胸に抱えて身を小さくして玄関に入り、靴を脱いで部屋にあがった。高柳はどんどん部屋の奥に行くのでついて行く。
「ま、そのへんのソファでくつろいどって」
高柳はリビングに到着するなり、二人掛けのソファを指さして言った。さなえは固くなりながらも、そっとソファに座った。座り心地のよさが実家のソファとは全然ちがう。
「なあ、自分、腹へってへん?」
高柳がキッチンの冷蔵庫に向き合ってごそごそやっている。さなえは自分が空腹なのに気づいた。緊張していたせいで忘れていたが、講座が終わったら部屋で何か食べようと思っていたのだった。
「少し…へってます」
「じゃ、カレーな。2日目のカレーやから昨日よりずっと美味しいで」
「何かお手伝いを」
「ええよ。座っとき」
高柳は、手際よく野菜を切り出した。サラダを作ってくれているらしい。さなえはちょっと息をつき、部屋を見渡した。随分、綺麗に整理整頓されている部屋だった。服が散乱してるわけでもないし、テーブルの上も、ものがほとんどない。
男性の部屋と言えば、瞬の部屋で鍋をした思い出があるだけだ。瞬の部屋はザ・独身男性という感じで散らかっていた。「これでも片付けたんだよ」というのが信じられなかった。
それに比べたら、高柳の部屋は、とんでもなく綺麗だ。私の部屋よりも綺麗かも、と思っていると、鼻腔をくすぐるいい香りがしてきた。
「わ…おいし、そう」
思わずもらしたさなえの言葉に、高柳がにやっと笑った。
「サラダ、テーブルに運んでくれるか。カレーもう食べられるで」
さなえは、ボウルに盛られたサラダをリビングのテーブルに持って行った。高柳は、てきぱきと動き、あっという間に二人分の配膳をしてのけた。さ、食べや、と言われてさなえは、スプーンを手にして、ひと口食べた。
「…!美味しいです。カレーなんて三年ぶり」
さなえの美味しいにご満悦だった高柳が顔色を変えた。
「ちょ、ちょい待ちや。カレー嫌いなん?!」
さなえは、ぶんぶん、首を振った。
「ま、そのへんのソファでくつろいどって」
高柳はリビングに到着するなり、二人掛けのソファを指さして言った。さなえは固くなりながらも、そっとソファに座った。座り心地のよさが実家のソファとは全然ちがう。
「なあ、自分、腹へってへん?」
高柳がキッチンの冷蔵庫に向き合ってごそごそやっている。さなえは自分が空腹なのに気づいた。緊張していたせいで忘れていたが、講座が終わったら部屋で何か食べようと思っていたのだった。
「少し…へってます」
「じゃ、カレーな。2日目のカレーやから昨日よりずっと美味しいで」
「何かお手伝いを」
「ええよ。座っとき」
高柳は、手際よく野菜を切り出した。サラダを作ってくれているらしい。さなえはちょっと息をつき、部屋を見渡した。随分、綺麗に整理整頓されている部屋だった。服が散乱してるわけでもないし、テーブルの上も、ものがほとんどない。
男性の部屋と言えば、瞬の部屋で鍋をした思い出があるだけだ。瞬の部屋はザ・独身男性という感じで散らかっていた。「これでも片付けたんだよ」というのが信じられなかった。
それに比べたら、高柳の部屋は、とんでもなく綺麗だ。私の部屋よりも綺麗かも、と思っていると、鼻腔をくすぐるいい香りがしてきた。
「わ…おいし、そう」
思わずもらしたさなえの言葉に、高柳がにやっと笑った。
「サラダ、テーブルに運んでくれるか。カレーもう食べられるで」
さなえは、ボウルに盛られたサラダをリビングのテーブルに持って行った。高柳は、てきぱきと動き、あっという間に二人分の配膳をしてのけた。さ、食べや、と言われてさなえは、スプーンを手にして、ひと口食べた。
「…!美味しいです。カレーなんて三年ぶり」
さなえの美味しいにご満悦だった高柳が顔色を変えた。
「ちょ、ちょい待ちや。カレー嫌いなん?!」
さなえは、ぶんぶん、首を振った。