ずっとずっと君のそばに
『ンン……』

目をゆっくりと開け始めた真咲


黒は、キッチンで料理を作っていた


『いい匂い……

料理、上手いね……』

真咲の言葉で目が冷めたことを知った黒


❜大丈夫?❜よりも先に真咲の言葉に

返事そうと口を開く


『まだ、食べてないだろ?』


『黒の料理だもん。美味しいに決まってる』


黒も真咲もとびきりの笑顔………


『ずっとずっと………』

黒の言葉に

真咲も……

『ずっとずっと……』

最後は、二人で

『ずっと二人で楽しい時間を過ごしたい』


『同居する?』

同居の提案をはじめに持ち出したのは、

真咲だった………

『したいな……同居……』

黒のその言葉に涙を流し続ける様子の真咲

に表情一つ変えず、優しい笑顔のママ、

『どうしたんだ?』

その表情に安心したのか話し始める真咲

『私、…親に一人暮らしは、無理って


だから、…シェアハウスに住んでて』


黒もシェアハウスに住んでいることは、


知ってた。


イジメを心配する黒


だったけど……

『シェアハウスの人達、皆仕事大変で


体調悪い日は、一人ぼっちで


寂しくて………


もっと甘えたいのに……


周りの人に、もっと甘えたい


なのに、迷惑かけるんじゃって


逆に心配になって……


心寂しくなって、


それから、もっともっと


体調を崩すことが増えて……


もぅ、耐えられない……。


自分でも訳わからない………。』



『辛い……。


このままでは、真咲の身体が


持たないんじゃないか?』



シェアハウスでの辛さだった。


周りの人は、皆優しい……


けれど仕事の忙しさで


結局一人ぼっちになってしまう


寂しさ………


黒は、わかってられない…


だって、そんな経験してないから


真咲じゃないから……


そう、悩む黒……


けれどそうじゃないんだよ。


相手のことわかってられない。


それは、当たり前のことなんじゃない?


だけど、温もりのある言葉で


冷えてしまった心を温めて上げることは、


黒にもできるんだよ。



『そっかそっか。


僕も一人ぼっちは、寂しい…


けど、真咲は、毎日のように


寂しい思いをしているのか………


辛い……僕には、耐えられない


だけど、真咲は、ここまで


耐えてきてくれた。


強いね。真咲は、………


ずっとずっとそばに居て、


真咲の側を離れない


なんて言えなくても、


絶対に真咲のことを支え続ける


できる限り一緒に居よう……』



『うん……。』



『同居しよう……』



『うん』



『ま、こんな狭い家で良ければだけど』



急に陽気な声になる黒は、真咲に


勇気と希望を与えることができただろう…
< 5 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop