冷酷御曹司の激情が溢れ、愛の証を宿す~エリート旦那様との甘くとろける政略結婚~

「俺はそれほど驚いてはいない」

 まっすぐ前を見つめながら充さんがそう言った。

「報告を受けたときは驚いたが、すぐに受け入れることができた。あの夜、クレシャリーテで菫を抱きながら、俺たちの間に子供ができればいいと思っていたからな」
「そうなんですか?」

 まさか充さんがそんなことを思っていたとは知らなかった。

「子供欲しかったんですか?」

 彼の性格からは想像できないけれど、もしかして子供好きなのだろうか。

 そういえば、実家を訪れる前に立ち寄った森林公園で、男の子が充さんのズボンにソフトクリームを付けてしまったときも彼にしては優しい対応をしていたのを思い出す。

「子供は欲しいに決まってる。というよりも必要だ」
「必要?」
「結婚した日にも言っただろ。俺には跡取りが必要だって」

 初夜のときのことを思い出す。私を抱くのは跡取りを産んで欲しいからだと、確かに言われた。

「俺の子供は将来のグレースフルパレスホテルグループを担う大切な後継者だ。その子を身籠ったのだから、菫は俺の妻としての務めを立派に果たしてくれた」

 充さんの言葉に、なぜか胸がきゅっと握りつぶされたように苦しくなる。
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