ダブルブルー
「蒼ちゃん」


たったひとこと。


私の名前を呼ぶ声が響いた。


心許ない電灯の灯りに照らされて、青さんが立っている。


1歩、2歩と、ゆっくり私の方へ歩いてくる青さんをただ、見つめた。


腕を伸ばせば触れる距離で立ち止まった青さん。


この距離が、もどかしい。


「蒼ちゃん、忘れ物、してるでしょ」


囁き声でもはっきりと聞こえる、甘い声。







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