課長に恋してます!
 電話は香川専務からだった。

「上村、海外事業部の早川課長が病院に運ばれた」

 香川専務の言葉がガーンと頭に響いた。

 ――早川が!

「何があったんですか?」
「愛人と心中したんだよ」

 ――心中!

 あまりの事に言葉が出て来ない。
 早川とは同期で親しくしていた。
 語学に堪能で、結婚してて、中学生ぐらいの娘さんがいた。
 顔を合わせると互いの子どもの話などをよくしていた。
 会社員としては上司の顔色を気にする保守的なタイプだったが、いい奴だった。

「上村、聞いてるか?」
「早川さんが心中なんて、何かの間違いでは?」
「俺だってそう思ったよ。だけど今、警察が来て事情を聞いた所だ。幸いにも二人とも命は取り留めたそうだが」
「心中未遂という事ですか」
「困ったもんだよ。早川も、その相手もうちの社員だからな。大スキャンダルだ」
「どういう事です?」
「早川は昨年度の新卒で入った部下と出来てたんだよ。つまり相手は二十才以上年下って事だよ」
 
 ――二十才以上、年下の部下。

「上村、お前は大丈夫だろうな?」
 香川専務が声を潜ませた。
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