課長に恋してます!
「帰国してると聞いて、来ました」
「僕を待ってたの?」
「はい」
「いつから?」
「……さっきです。えーと、その、羽田空港も見たいなって思ってたんで。その、ついでに……」

 昨日の夜から課長を待っていたとは言えなかった。
 課長に申し訳ないと思われるのが嫌だったし、重たく思われたくない。

「僕が帰国してる事、誰に聞いたの?」
「石上です」
「確かに石上君に長野に行くと言ったかもしれない。じゃあ、石上君に会ったんだね」
「はい」
「そう」

 課長は静かにコーヒーを飲んだ。
 カップを掴む骨ばった指先が男らしく見える。

 香港で手を繋いでもらった事を思い出した。
 課長の手はあったかくて、大きかった。

 今も繋ぎたいって言ったら、繋いでくれるかな?

「一瀬君」

 課長と目が合った。

「は、はい」

 邪な考えが読まれた気がして、ドキっとした。

「おめでとう」
「え?」
「石上君と結婚するって聞いたよ」 
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