課長に恋してます!
「逃げてなんていないよ。飛行機の時間があるから急いでるだけだ」
「まだそんなに急がなきゃいけない時間ではないと思いますが」
「保安検査の列が混雑する前に並びたいんだよ」
「課長、聞いて下さい。確かに石上にプロポーズはされましたが、断りました。課長が好きだからです」
「そんな事言ってはいけないよ。石上君は真剣にプロポーズしたんだ。もう少し考えてやったらどうだね?」
「それは私の気持ちが迷惑だって事ですか?」
「そうだよ」
「全く可能性はないんですか?」
「……ない」
「……少しも?」
「ない」

 涙で視界が歪んだ。

「じゃあ、僕は行くから」

 課長が横を取り過ぎて行く。

「待って下さい」

 課長がズンズン進んでいく。

「……待って」

 課長を追いかけた。

「……待って」

 人にぶつかって転んだ。

「……待って」

 課長の姿が遠くなっていく。
 課長は振り返る事なく歩いて行った。 
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