課長に恋してます!
「良かったな」

 それ以外、言いようがなかった。

「次は課長、私に会いに帰って来てくれるって言ってくれたの」
「そうか」

 ビールが普段より苦く感じるのは、失恋したからだろうか。
 そんなことを考えながら、課長のことを嬉しそうに話す一瀬を見つめる。
 今夜の一瀬は悔しいくらい綺麗で魅力的だった。
 つくづく課長には敵わないと思う。俺には一瀬をそんな表情にさせることは出来なかった。

「しかし、気をつけろよ。あのメール見ただろ?」
「うん」
「明らかに一瀬と上村課長の仲を引き裂こうっていう内容だよな」

 茶化したつもりだったが、一瀬が急に表情を暗くした。

「香川専務に課長との事で注意された事があるの」

 一瀬がため息をついた。

「もう目をつけられてるのか」
「うん。片思いの時だったから、ただ私の想いを押しつけてるだけだって言ったけど……」
「本当に一瀬と上村課長を引き裂こうとしてるのかもな」

 香川専務が二人の仲を心配してるのがわかったが、しかし、上村課長に対するいやがらせのようにも思えた。
 香川専務の恨みを買うような事を課長はしたんだろうか?

 もしかして、香港に異動になったのも……。

 いや、考え過ぎだ。
 香港異動は栄転だ。香港で成果をあげて、本社に戻って来れれば、課長は部長に昇進するだろう。
 ただ単にマスコミが騒ぎそうな火種を消そうとしてるだけだ。
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