課長に恋してます!
 胸が熱い。恋焦がれた課長にそんな風に思ってもらえるなんて嬉し過ぎる。

「そんな事言われたら、居座りますよ。課長に迷惑かけないようにちゃんとホテル取ったのに」
「ホテルに泊まるの?」

 課長が意外そうに片眉を上げる。

「だって課長、温泉迷惑そうだったから」
「迷惑じゃないよ。いきなりで驚いたんだよ。電話の事は本当に覚えてないから」
「全く覚えてないんですか?」

 課長が考えるように首を傾げ、腕を組んだ。

「美月に電話した事はなんとなく覚えてるけど、話の内容はきれいさっぱり忘れてる。年だな」
「課長、物凄く優しい事言ってくれたんですよ」
「どんな事言ったの?」

 何度も会いたいって言ってくれた課長の優しい声を思い出して、にやけそうになる。

「それは秘密です」
「秘密か」

 課長が困ったという顔をして、人差し指で頬をかいた。

「秘密と言われると聞きたくなるのが人情だ」
「教えません」

 困ってる課長が見たくなった。
 目が合うと課長があきらめたようにため息をついた。

「それにしても、あの日は飲みすぎたな」
「かなり飲んでたんですね」
「美月に電話したかったから、早く接待を切り上げたくて頑張って飲んだんだ。しかし、相手がしぶとくね。結局午前様だ」
「午前様ですか」

 幸せな笑みが浮かんだ。
 私の為にそんな事をしてくれたなんて嬉しい。
 こっちを向いた課長と目が合う。

「ホテル、キャンセルすれば」

 そう口にした課長はどこか甘えるような表情で私を見つめた。
< 236 / 251 >

この作品をシェア

pagetop