秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「・・・・」

唖然とする桜を抱き締め、俺は桜の耳元で囁いた。

「俺、桜と結婚したいんだ」

「・・・・ほんと・・に?」

「うん。どうかな?」

「私も・・」

「うん」

「私も、直生と・・結婚したい」

「じゃあ、決まりな!」

「本当に・・いいの?」

俺は頷いた。
そして、桜は泣いた。


『婚約者』になった俺たちは、その後ベッドで戯れた。

それまでは、いつも何かを埋めるように抱き合っていたけれど、ただ相手の体温を感じるために身体を重ねて触れ合った。

少しひんやりとしたシルクのシーツの上で、桜の吐息と甘い香りに浸った。

「桜、寒くないか?」

「直生があったかいから、大丈夫」

「そっか」

「直生・・もう少し、このままでいてもいい?」

俺は、桜を抱き寄せて腕の中に入れた。

「桜」

「なに?」

「俺、桜の家で暮らしてもいい? あの家は、俺にとっても思い出がたくさんあって、桜と暮らすならあの家しか考えられないんだよな」

「私はいいけど、新しい家じゃなくていいの? それなりに築年数も経ってるし・・」

「しばらくはあの家で暮らそう。桜だって離れたくないだろう?」

「ありがとう・・直生」


桜との関係は、多分、一歩も二歩も前に進んだ状態で修復できたと思う。
次は、会社だ。

俺にはまだ、やることがある。

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