秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
俺は今でも、桜が社長をやるべきだと考えている。

桜の聡明さは誰もが認めるはずだし、服部トレーディングのグループ会社になるなら、なおさら桜が適任だ。

グループ全体の女性社員の士気も上がる。

「桜、会社のことなんだけど・・さ」

「・・うん。それは・・ベッドでする話じゃないよね」

スルリと俺の腕を抜けて、桜はベッドを出た。
もう表情が切り替わっている。

「ちゃんと聞くわ」

俺たちは服を着て、リビングに移動した。


「桜、社長続けてみないか?」

桜の好きなカフェオレを用意しながら、横で見ていた桜に問いかけた。

「どうして? それに、私が社長を続けたら、直生はどうするつもりなの?」

俺は桜にカフェオレを渡し、自分用にエスプレッソを淹れてひと口飲む。

「俺は、変わらず桜をサポートするよ」

「え? 『秘書』を続けるつもりなの?」

「そう」

「そう・・って、そんな簡単に・・」

「俺は、トップに立つより裏方が性に合ってる。兄貴や桜のために、影でいろいろ動き回るのがね」

「直生・・。でも嫌じゃないの? 夫が『秘書』で妻が『社長』だなんて・・」

「なんだ、桜。俺をそんな器の小さい男だと思ってるのか?」

そう言って軽く睨むと、桜は『降参』と言わんばかりに両手を上げて笑った。

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