秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「本当に私も書かせていただいていいんですか?」

親父に書いてもらった後、ひとつ残った婚姻届の保証人欄を、西川に書いてほしいと伝えた。

「いまの俺があるのは、西川がいてくれたからだ。・・惜しいけど、そろそろ兄貴に返さないとな」

「専務・・」

苦しかった俺の1ヶ月を、影で支えてくれたのは西川の存在だった。

兄貴は、何の気なしに西川を俺に付けてくれたようだったけれど、いつもと違う状況を見抜いていたのかもしれない。

「そうなんだ、西川さんは服部社長付きだったのね・・。でも今後は直生にも、誰か信頼できる人がそばにいた方がいいんじゃない?」

「そうだな。桜ちゃんと直生は、今後夫婦で動くこともあるだろうし、そういう時に小回りが効く者がいると助かるはずだ。俺が玲生に話しておこう」

それを聞いた西川の表情が、パッと明るくなった。

「会長! ありがとうございます!」

「西川、あんまり喜ぶと兄貴に睨まれるぞ」

「アハハ・・。専務、区役所までお送りしましょうか? 婚姻届、提出されますよね?」

「ああ、頼むよ。桜、行こうか」


ふたりで区役所へ行き、俺たちは『夫婦』になった。


「さて・・次は指輪だな。桜、どのブランドでも好きなの選んでいいぞ」

「えー? 何よそのお金持ち発言は」

そう言って桜は笑った。

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