秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
俺は桜に、桜が社長を続ける意味を伝えた。

山脇物産のためにも、服部トレーディングのためにも。
そしてそこで働く、たくさんの女性たちのためにも。

「だいぶ持ち上げられてる感はあるけど、直生がそこまで言うなら・・」

仕方ないわね、と諦め顔で笑った。


それから何日か経った後、結婚のこと、桜が社長を続けることを親父に報告した。

「そうか・・良かったな。これで桜ちゃんも俺の娘だ。いつでも頼ってくれて構わないよ。直生よりも頼りになるんじゃないか?」

「ふふ。そうかもしれませんね」

「そんなわけないだろう。何言ってんだよ、親父まで」

「ただ・・。わりと大きな提携先をひとつ失ったので、その分のリカバリーは急がなければと考えているところです」

「そうか・・あては何かありそうか?」

「あるよ」

そう答えた俺に、本当?と桜が視線を向けた。

「俺が何しに南米まで遠征したと思ってるんだよ」

そう言って、桜の耳に揺れているピアスに触れた。

「え? もしかして・・これを?」

「そう、契約してきた。愛する妻へのプレゼントってところだな。・・・・西川、契約書あるか?」

はい、と木内社長とブラジルで交わした契約書を桜に渡す。

「すごい! あんな短い期間で・・いつの間に・・」

「だろ? 慎重派の親父と一緒にされちゃ困るんだよな」

そう言ってドヤ顔をした俺を見て、親父と桜が顔を見合わせて笑っていた。

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