秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
社長の元には、就任して2ヶ月が過ぎたあたりから、会食の誘いがひっきりなしに届くようになった。

でも、『今はまだそういう時期ではないから』と全て断ってきたのに・・。

武田商事の専務といえば、確か武田社長の息子だ。

相手の思惑は・・。
そしてそれを受けると言った、社長は・・桜さんはいったい何を考えているんだ。


「・・はい、承知しました。それでは18時に。どうぞよろしくお願いいたします」


先方の秘書に連絡を取り、確約した。

会食くらい、社長の地位なら当然あることだ。
これまで無かったのが不自然なくらいで。


でも・・。


俺の知る桜さんは、そんなに酒が強くなかったはずだ。

大丈夫だろうか。

先方の専務は確か30代後半で、かなり交友関係が派手だと聞く。

飲まされて、そのまま朝まで・・。


何を考えているんだ、俺は。
頭を左右に振って、余計な妄想を追い出す。


「服部? どうかした?」


戻ってきた社長は、両手にテイクアウトのコーヒーを持っていた。


「はい、これは服部の分ね」

「あ、ありがとう、ございます」


何事も無かったように明るく話す社長に、拍子抜けしたのだけれど。

デスクの椅子に座り、コーヒーカップに口をつけた瞬間、視線が鋭くなった。


「服部、今夜なんだけど、すぐに車を出せるように待機してもらってもいいかしら」

「はい・・もちろん構いませんが」

「必ずよ。呼んだらすぐに来て」


社長?
やっぱり、何か起こるのか?
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