秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「服部、すぐ・・来て・・」

「すぐ行きます。バーラウンジにいますよね? 絶対に、そこから動かないでください!」

「うん・・早く来て、服部・・」


電話が切れた。

道はそれほど混んではいなくて、15分かからずに着いた。

急いでラウンジに向かうと、バーテンダーと談笑している社長が見えた。


あ・・れ?

いつもと変わらない?


「社長、お待たせしました」

「ありがとう。行きましょうか・・ごちそうさま」


ニコリとバーテンダーに笑顔を向け、バッグを片手に歩き出す。

いつもに比べればゆっくりな気もするが、ふらつくようなこともない。


「あの・・社長? なんともないですか?」


エレベーターの扉が閉まりかけたところで声をかける。

ところが。

扉が閉まりきったところで、カメラの死角になるような位置で後ろ向きになり、ううっと声を上げて右手で口元を抑えたのだ。


「社長!」

「大丈夫・・もう少しだけなら耐えられる。でも、家までは・・無理だと思う。ごめん」

「歩けますか? おんぶしますよ」

「・・家に着いたら、そうしてくれる?」


真っ青な顔のまま、なんとか車にたどり着く。

後部座席に転がり込むように乗り込み、社長はそのまま目を閉じた。
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