秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
俺は帰る気になれず、そのまま桜さんの家のリビングで、朝までソファに横たわった。


「ん・・んっ」


身をよじりながら目を覚ますと、俺の身体にはブランケットが掛けられている。


桜・・さん?


耳を澄ますと、バスルームからドライヤーの音が聞こえる。


起きれたんだ・・良かった。


目を閉じてうとうとしていると、ガチャッとリビングのドアが開く音がした。

目を閉じたまま、様子を伺う。

桜さんの足音が、俺に近づいてきた。

いや・・それだけじゃない。
多分、いま結構近くにいる。


シャンプーか、香水か・・。
動きの止まった桜さんから香ってくる。


ヤバイ。
また鼓動が早くなる。


あ・・。


目にかかる俺の前髪を、桜さんが指で流す。


「・・服部」


呼びかけられて、思わず目を開けてしまった。


「おはよう。ここに、いてくれたのね」

「あの・・勝手に、申し訳ありません。ひとりにするのが心配で・・」


それを聞いた桜さんは、ふわりと微笑んだ。


「ありがとう。いつも、そばにいてくれて」


帰らなくて良かったと思った。

それくらい、その笑顔と言葉が俺を満たした。
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