秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
珍しく桜さんが自らアポを取った約束があり、その相手がオフィスに現れた。


「藤澤(ふじさわ)です。社長と約束を」

「はい、伺っております。こちらへどうぞ」


現れた藤澤という男は、180センチの俺より背が高く、スリーピースのスーツを着こなしていた。

歳は、同じくらいか、少し上だろうか。


「藤澤、久しぶり」

「山脇、少し痩せたんじゃないか? 心配だな。美味いものでも食いに行くか?」

「そんなことないから大丈夫よ。それより、本題に入りましょう」


ふたりは社長室に消えた。

藤澤という男が、ごく自然に背中に手を添えてエスコートするものだから、俺は思わずふたりの後ろ姿に見入ってしまった。


あの男、桜さんを・・?


事前に話を聞いた限りでは、経営コンサルタント時代の同僚だと話していた。

俺は、手元に用意したふたり分のコーヒーに視線を落とす。

ドアを開けた瞬間、ふたりが抱き合っているなんてことは・・無いよな。


ガチャッ、とドアノブを押して中の様子を目にした俺は、コーヒーが乗ったトレイを落としそうになった。


「山脇」


そう言って、あの男が桜さんの頬に触れていたからだ。
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