秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「ん? 電話鳴ってるぞ」


室長に言われて、テーブルに置いたスマートフォンが振動していることに気づいた。


「社長ですね。ちょっと失礼します・・社長、いまどちらですか?」


聞くと、前社長の友人を訪ねていたのだという。
もうすぐ戻ると言い、電話が切れた。


「社長、なんだって?」

「はい、前社長の友人のところに行ってきたと」

「ふーん、誰だろうな。何人か心当たりがあるが・・」

「社長、もうすぐ戻られるそうです」

「そうか。何か気になることがあれば、いつでも言ってくれ。力になれることもあるだろうから」

「はい。落ち着いたら、また飲みに連れて行ってください。いい店教えてくださいよ」


分かった、と室長が会議室を出て行った後、5分ほどして桜が戻ってきた。


「お帰りなさい。何か飲み物を用意しましょうか?」

「ううん、大丈夫。それよりお腹空いた」

「え? てっきりその方とランチをご一緒したのかと」

「話し込んじゃって、それどころじゃなかったのよ」

「じゃあ・・軽食でいいですか? 買ってきますよ。その代わり、夜はちゃんと食べてもらいますから」

「・・はーい」


誰と話したのか、少しスッキリとした表情をしていた。

前社長の友人ということは、ある程度年配の男だろうか・・ひとまず藤澤じゃないなら、良しとするか。
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