秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「桜、今日の昼、誰に会いに行ったんだ?」

「あぁ、父の昔からの友人よ。同年代くらいの方かな。何か困ったことがあったら、相談するようにとずっと言ってくれていて」

「そうか。何かいいアドバイス、もらえた?」

「んー、どうかな・・。
ただ、新しい情報に惑わされるなって。父が積み重ねてきたものは、私や、周りが考えてる以上にしっかりしたものだからと言われた」


特別なことは言っていないけれど、重みのある言葉だと思った。

桜だけじゃなく、俺も情報に振り回されないようにしなければ。


「直生」


桜が俺を見上げる。


「直生、あの・・・・もし・・良かったらなんだけど・・」

「うん、何?」

「しばらく・・ここに・・いてほしい」


滅多に甘えない桜が、言いづらそうに口にした。

桜の言う『しばらく』は、どれくらいのつもりなんだろうか。


「この家で、俺と暮らす?」


ストレートに聞くと、さすがにそこまでは考えていなかったのか、目を伏せてしまった。


「何日か・・のつもりで。
だって、一日中毎日一緒にいたら、いくらなんでも・・」

「俺に飽きる?」

「・・そんなことは。きっと、直生が私を嫌になると思うから・・」


社長の桜は、いつも冷静で、意思もハッキリ表すのに。

恋愛ごとには、あまり自信の無い桜を知っているのが俺だけかと思うと、何だか妙な優越感があった。
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