秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
『山脇と別れろ』

『お前が手を引かないなら、山脇の会社を欲しがっているクライアントと手を組んで、会社ごと手に入れる』


あいつの言葉が、頭の中で繰り返される。


これは・・俺が桜を諦めれば済む話なのか?


俺と別れなければ、桜は会社を失う。
俺と別れたら、桜は会社を失わない。


隣にいる男が変わるだけだ・・俺からあいつに。


桜にとってみれば、会社と俺のどちらを選ぶかなんて迷うはずもない。

当然、会社だ。

だとしたら。
取るべき選択肢は、ひとつしかない。


はぁーーーーー。


「さく・・ら」


渡したくない。

桜も、会社も。



ブブ・・ブブ・・。

ジャケットの内ポケットでスマートフォンが震えた。


「・・はい」

「服部? いまどこにいるの?」


桜・・。


「あ・・いま、ちょっと外にいて・・」

「そう・・。少し前に藤澤から連絡があって、服部にランチのアポを入れたって言うんだけど、本当?」

「・・はい」


そんなことを言われた覚えはないが、今の俺は否定もできない。


「じゃあ、食べたら戻るわね。その頃には服部も戻ってる?」

「はい、戻っています」

「良かった。また後で」


俺がモヤモヤとしている間に、あいつはもう仕掛けてきたのか。

俺を排除して、桜を本気で手に入れるつもりなんだ。
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