秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
会長室のドアを開けると、そこには親父と兄貴がいた。


「お、久しぶりだなその格好。相変わらず似合うじゃないか」

「なんだよ、親父もからかうのか? 母さんにも出掛けに似たようなこと言われたよ」


ククッと兄貴がおもしろそうに笑う。


「直生が来ると、社内がざわめくからすぐ分かるよな? 親父」

「まったくだな。それはそうと・・今回はどうした。タイミング的に、現れる時期じゃないだろう? もしかして、桜ちゃんのことか?」

「ん? 桜・・ちゃん? 初めて聞く名前だけど、誰?」


何も知らない兄貴は、不思議そうな顔だ。


「俺の上司だよ」

「は? お前の上司は俺だろ」

「そういやそうだ、アハハ」


兄貴と笑い合っていると、親父が目を細めて俺たちを見てることに気づいた。


「仲がいいな、お前たちは」

「・・親父?」

「弟のことを思い出すよ・・」


そういえば母親に聞いたことがある。
親父には、ふたつ下の弟がいたと。

でも会社の・・親父との派閥争いで失脚して、そのまま病気になって亡くなってしまった。


失意の中にいた親父を助けたのが、桜の父親・・前社長だったのだと。

旅に出た親父は、たまたま南米のある国で、買い付けに来ていた前社長と出会ったらしい。


前社長は聞き上手だったから、きっと親父の話にも親身に耳を傾けたのだと思う。

何日か一緒に過ごしたことで、随分と救われたと言っていたから。
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