秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
社長 ーーー。
山脇(やまわき) 桜は、34歳。
俺のひとつ上だ。

外資系の経営コンサルタント会社に勤務していた桜さんは、企業の合併や買収、いわゆるM&Aを手掛けていた。

その活躍に、前社長や役員たちも次期社長を桜さんにすることに何の異論も無かった。

客観的な目で経営のノウハウを知り尽くしているわけだし、前社長もたまに桜さんと経営の話をするのが楽しみだったらしい。

桜さんは身長160センチほどだけれど、いつも7センチのハイヒールを履いて、すっきりしたファッションを好んでいた。

髪は・・。
顔は・・。

いくらでも話せる。

そう、俺は、前社長のもとに桜さんが現れる度に、その見た目と人柄、そしていつしか仕事ぶりにまで、どんどん惹かれていった。


俺の一方的な片想いだ。


それが漏れないように、前社長にも桜さんにも気づかれないように、細心の注意を払っていたつもりだった。

でも、ある時。


「服部、桜が好きか?」


桜さんが出て行った後の社長室で、前社長に突然問われ、狼狽えた。


「えっ? なぜ急にそんなことを・・」

「ん? 桜を見る服部の視線が、あまりにも優しいからだ」

「・・っ」


バレていた。
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