秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「桜、乗って」

「えっ、この車? 直生、車が好きなの?」


ん? どういうことだ? 車が好き?


「こういう外国産の車って、税金対策か本当の車好きが乗る車種じゃない?」

「あー・・金持ちが税金対策に外車に乗るってヤツか」

「そう・・。だから、じゃないとすると直生は車好きなのかなって」

「なるほどね。どっちも・・かな」

「え?」

「いや。さ、行こうか」


桜の家まで、病院から車で15分ほど。

運転しながら何度か横顔を見ていたけれど、体調が悪い様子は無さそうだ。


「直生、そんなに見ないでよ。恥ずかしいじゃない」

「心配してるんだよ」

「・・ねぇ、そういえば」

「うん」

「直生って一人暮らし?」

「え? そう・・だけど」


言われてみれば、前社長の時から桜の家に行くことはあっても、桜がうちに来るようなことは無かった。

だから、一人暮らしかどうかも話さずにいた。


「いつか・・行ってみたい」

「何も無いよ。ただ広いだけ」


桜が、ふと目を伏せた。


「桜?」

「私、よく考えたら直生のこと全然知らないんだなって。どんなところに住んでいて、ひとりの時にはどんな生活をしてるんだろう・・」
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