秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
桜にとって、俺は『父の秘書』から始まった。

その後『自分の秘書』になり『恋人』になる。


でも『別れてほしい』と言ったり、それでも『愛している』と言う俺は、今の桜にとってどういう存在なんだろうか。

結構、ひどい男なのかもな・・。


「直生・・もう、どこにも行かない?」


赤信号で車を停めた俺の腕を、桜がつかんで言った。


「え、どこにも・・って?」

「私を、ひとりにしない?」


信号が青になり、車は走り出したものの桜の手は離れなかった。


「もう、無理・・全部。何もかも」


泣いているわけではなかったけれど、諦めたような、力のない笑みを浮かべていた。


「辛い?」

「辛くはないよ。でも、いい方法が思いつかない。状況は悪くなるばかりで・・」

「桜、俺に何してほしい?」

「・・・・何も。そばにいてくれたら嬉しい」

「それだけ?」


そう言った俺に、桜は不思議そうな顔をした。


「直生、それだけ・・ってどういう意味?」


ブブ・・ブブ・・。
ポケットでスマートフォンが震える。


「桜、ちょっとごめん」


俺は路肩に車を寄せて、車を降りた。


「どうした?」

『専務、例の件、親子の裏付け取れました!』

「そうか、良くやった。ありがとう」


いつのまにか桜も車を降りていた。
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