秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
「直生。私は、直生にとって何なんだろう」


窓の外に視線を向け、遠くを見るような目線だった。


「直生のこと知りたくて連れてきてもらったけど。考えてみたら、もう『秘書』でも『恋人』でもないし、どんな存在か分からないな・・って」

「・・寂しい?」


こくん、と桜は首を縦に振った。


「元はと言えば、俺のせいだから」

「えっ」

「別れてほしいって言ったり、それなのに愛してるって言ったり、桜を混乱させて」

「・・・・」


「別れたかったわけじゃない。理由があった」


俺は、真っ直ぐ桜の目を見て言った。

マグカップをテーブルに置いて俯いた桜から、涙が落ちるのが見えた。


「ごめんな」

「何が・・あったの?」

「桜も会社もどっちも失いたくなくて、まずはあいつの言う通りにした」

「あいつ・・藤澤?」


俺は桜に、藤澤が言った言葉をそのまま伝えた。


『山脇と別れろ』

『お前が手を引かないなら、山脇の会社を欲しがっているクライアントと手を組んで、会社を手に入れる』


桜は、深くため息をついた。


「それで私と別れたいと・・。会社のためだったのね」

「いや、そうじゃないんだ」

「え?」

「藤澤を油断させて、時間稼ぎがしたかった。別れたと知れば、しばらくは会社に手を出さないだろうと考えてね」
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