秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
『想定より時間がかかってしまい・・申し訳ありませんでした』

「そんなことはない、助かった。また頼むよ」

『はいっ! もちろんです』


電話を切って、小さく息を吐いた。

これで、準備が整った。


「直生」


俺は一瞬目を閉じてから、再び開いて桜に向き合った。

桜に全て話せる時が来た・・そう思った。


「直生の家に行ってみたい」

「・・いいよ」


なぜ俺の家に来たいと言ったのか、何となく想像がついた。

『秘書』じゃない俺を、知りたくなったんだろう。


『どんなところに住んでいて、ひとりの時にはどんな生活をして・・』


今の電話で、俺の話す感じで、桜は何を思っただろうか。

車を走らせ、俺の家に向かった。


「どうぞ」


鍵を開けて、桜を招き入れた。


「うん。お邪魔します・・」


俺は先にリビングに入り、ダイニングキッチンから声をかけた。


「桜、コーヒーでいいか?」

「うん、ありがとう」


遅れてリビングに入った桜は、あちこち見渡してから、遠慮がちにソファに座った。


「はい。カフェオレにしたよ」


マグカップを手渡すと、それを両手で持ち、しばらく黙っていた。

何から聞こうか、どう聞こうか、戸惑っているように見える。

桜の知っている『秘書』や『恋人』の俺と、今の俺とでは、桜の中での距離感が違うのだろう。


俺は俺、なのだが。
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