秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
どこまでどう話そうか、桜の様子を見ながら考えていた。

もう混乱させたくなかったし、寂しい思いもさせたくなかった。


「ただ、想定よりも藤澤やその背後にいる奴等の動きが早くて、桜に辛い思いをさせた」


俺が南米に立つ前、真っ赤な目元で泣いていた桜を思い出す。

『会社が・・上手くいってなくて・・。
取引先から、契約を見直したいっていう話がいくつも来ていて・・。それに気づいた銀行からも連絡が・・』


その上、藤澤に結婚を迫られてもいた。

どんな思いで、桜は耐えていたんだろうか。


「でも直生は、いつだって私を想っていてくれてたんでしょう?」


そう言って、泣き顔のまま桜は俺に笑いかけた。


「直生に何が起こっているのか分からなかったけど、直生を信じると決めたのは私だから・・」


俺はソファに座っていた桜を立たせ、ぎゅっと抱き締めた。


「もういいんだ、桜。これからは俺が桜と一緒に頑張るから、もうひとりじゃない」

「・・え?」


俺を見上げた桜の唇に、俺はやわらかく何度も唇を重ねた。


「直生のキスって、優くて好き・・」


ずっとこうしていたい、と桜は小さくつぶやき、俺の背中に両手を回した。


「いいよ。桜の気が済むまで」


桜を抱き締めながら、改めて心に決めていた。

俺のすべてをかけて桜を守る、と。
< 78 / 117 >

この作品をシェア

pagetop