秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
翌朝、俺は迷っていた。
『秘書』か『専務』かを。


「『専務』で。カッコいいから」


桜はクスクス笑った。


「みんな、そうやってからかうんだよな。もしかして何か変?」

「えー? 言葉のままよ。カッコいい、直生」

「はいはい」

「褒めてるのに」


俺は桜を車に乗せて、久しぶりに山脇物産に向かった。


「あれ? 服部専務?」


遠目で俺を確認した室長がつぶやく。

もしかして気づいてたのか?
でも、そんなそぶりは一度も・・。


「室長ったら。メガネ作り直した方がいいですよ、よく見えてないでしょ?」

「そうなんですよ。手元は見えるので不便は無いんですけど、遠くが全然合わなくて、雰囲気で誰かを判断してるんです。
それより、どうして社長が服部専務とご一緒に?」


そう言いながら近づいてきた。


「あら、室長は服部専務をご存知なのね」

「はい。前社長と服部トレーディングにお邪魔したことがあって、その時に会長に教えていただきました。
直接お目にかかるのは初めてなんですが、一度見た方は忘れないので」


真面目な顔で言う室長に、俺は我慢しきれなくなった。


「ククッ・・」

「ん? 服部専務、どうされました?」

「どうもこうも・・オレですよ、室長!」


メガネを外して室長に顔を近づけると、室長が目を見開いた。


「その顔・・お前まさか・・」


桜も、横で肩を揺らして笑っていた。
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